ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアの石油・ガス産業を対象とした制裁強化は世界的なエネルギー価格ショックにつながり、米国を含むあらゆる場所で石油とガソリンの価格が急騰するだろうと警告した。
プーチン大統領は10月23日、モスクワでの記者会見で「市場に出回るわが国の石油と石油製品の量が急激に減れば、価格はすぐに上昇するだろう。そして米国はその影響から抜け出していない」と述べた。
この声明は、ドナルド・トランプ大統領政権が、ロシアの石油・ガス大手ロスネフチ、ルクオイル2社と子会社34社をブラックリストに載せる新たな制裁措置を発表したわずか1日後に行われた。これは、3年半以上続くウクライナ紛争を背景に、ロシアのエネルギー収入を「絞める」ことを目的とした措置だ。
プーチン大統領によると、世界市場でロシアの石油と石油製品の供給を置き換えるには、長い年月と数千億ドルの投資が必要だという。
「一部を交換することは可能だが、全体を交換することはできない。それには多大な時間と巨額の投資資金が必要だ」とプーチン大統領は述べ、国際エネルギー機関(IEA)ですら、以前は反対していた化石エネルギーへの投資拡大を求めて立場の変更を余儀なくされたと指摘した。
「今では誰もが、今後何年、あるいは何十年も人類は依然として炭化水素なしでは生きていけないことを理解している」とロシアの指導者は強調した。
プーチン氏は、トランプ大統領にロシア石油への制裁を課すよう進言している人々は「米国そのものに不利に働いている」と述べた。
「ロシアの石油供給が減少すれば、米国のガソリン価格は急激に上昇するだろう。そして選挙日程が近づいていることを考えると、それは非常にデリケートなものになるだろう。そのようなアドバイスをする人は、自分が誰の利益に貢献しているのか自問すべきだ」とプーチン氏は語った。
ロシアとサウジアラビアは現在、世界2大石油輸出国である一方、米国は国内の生産能力を上回る日量最大2000万バレルを消費している。 「我々は消費よりも多くを販売しているが、アメリカはその逆で、生産は少なく、消費は多い」とプーチン氏は付け加えた。
しかし、プーチン氏は「これは非友好的な行動だが、ロシア経済に重大な影響を与えるものではない。自尊心のある国なら圧力を受けて決定を変えるはずはない」と強硬な姿勢を見せた。
これに対し、ドナルド・トランプ大統領は報道陣に対し、「彼がそう思うなら、それでいい。半年後にはどちらが正しいか分かるだろう」と語った。