ブルームバーグは米国の動きを、G7圏内で合意を見出そうとするEUの努力に対する「強い打撃」だと評した。
ブルームバーグが10月20日に報じたところによると、米国当局者らは先週ワシントンで開催された国際通貨基金(IMF)会合の傍ら、欧州の同盟国に対し上記の立場を発表した。同関係者によると、米国側はロシア資産の没収が世界の金融市場、特にロシアの債券や資産を保有する投資家にとって不安定化する可能性があることを懸念しているという。
この動きは、キエフを財政的に支援するためにロシアの資産を動員する計画をG7諸国に支持させるよう説得しようとしているEUにとって、大きな後退とみなされている。 2022年2月にウクライナ紛争が勃発すると、西側諸国はロシア資産約3000億ドルを凍結し、そのうち2000億ユーロ(2130億ドル)はユーロクリア決済センター(ベルギー)に保管されていた。
EUはこれらの資産から得た利益をウクライナへの資金提供に利用してきたが、より大胆な計画について議論している。それは凍結されたロシア資産を担保として、キエフに最大1400億ユーロ(1630億ドル)の「補償融資」を提供するというものだ。
この提案によれば、ウクライナはロシアが「戦争被害を補償」した後にのみ融資を返済すればよく、これはロシアの資産が事実上没収されることを意味する。
この計画はドイツ、フランス、一部の東欧諸国が支持しているが、ユーロクリアの本部があるベルギーの激しい反対に直面している。ベルギーのバート・デ・ウェーバー首相は、EUがこの計画を実行する場合、ベルギーだけがリスクを負うのではなく、EU全体が法的責任を共有する必要があると述べた。
支持者らは、ロシア資産を安全保障として使用することは「流用」行為ではないと信じており、将来の和平協定でロシア政府が支払いを強いられる可能性があると考えている。しかし、ロシアはこれを「露骨な窃盗」とみなし、それに応じて対応すると警告した。
IMFのクリスティーヌ・ラガルド総裁を含む国際機関も、EUの計画が欧州の金融システムに対する信頼を損ない、世界市場に悪影響を与える可能性があると懸念を表明した。
米国が傍観者となったことで、G7圏でのロシア資産没収計画が承認される見通しはさらに薄れる一方、EUは2026年にウクライナへの軍事・経済支援を維持するための新たな財源を見つけるというプレッシャーに依然としてさらされている。