11月12日、一部の識者によると、ヴァンテージ・ドリリング社(米国)は、ルーマニアの排他的経済水域にある黒海のトライデント・ガス田の探査のため、ロシアの石油・ガス会社ルクオイルと来年実施予定だった掘削契約をキャンセルした。
この動きは、ルクオイルの海外エネルギー帝国が米国と英国からの制裁の重みで大きく揺れていることを示す最新の兆候だ。契約解除は、ロシア企業がルクオイルの最も重要な海外資産であるイラク油田での不可抗力を宣言したわずか数日後に行われた。
これに先立ち、ヴァンテージ・ドリリングは10月19日、プラチナ・エクスプローラー船を使用した260日間の掘削契約が解除されたと発表したが、所在地やパートナーについては明らかにしなかった。
その後、同社はルクオイルに関連する契約情報について直接コメントすることを拒否し、「現在の制裁によりその履行が違法となったため、ヴァンテージは契約を解除した」とだけ述べた。
英国は10月16日から、ロシアの2大石油・ガス会社であるルクオイルとロスネフチを対象に制裁を発動した。
一方、ルクオイルはコメントの要請に応じなかった。
ルクオイルは現在、黒海沖合のトライデントと呼ばれる2つの石油・ガス鉱区の株式の85%を所有し、ルーマニアの国営ガス会社であるロムガズとの合弁事業であるエスト・ラプソディアが残りの株式の15%を保有している。
6年間の休止の後、ルクオイルは2026年に探査掘削活動を再開する予定だった。
ルクオイルが2015年に少なくとも300億立方メートルのガスが含まれている可能性があると発表したトライデント油田は、黒海での著名な発見の1つである。シェルやOMVなどの大手エネルギー企業も、失われたロシアのガス供給を欧州連合(EU)内の生産量で補うためにこの地域を活用しようとしている。