草案によると、CSDDDはEU内で事業を行うすべての企業に対し、欧州外を含むサプライチェーン全体にわたる環境および人権リスクに対する責任を負うことを義務付けている。大企業もパリ協定の摂氏1.5度目標に沿った気候変動計画を立てることが義務付けられており、そうでなければ世界収益の最大5%の罰金が科せられる。
エクソンモービルのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は、この法律は悲惨な結果をもたらすだろうと述べた。 「驚くべきことは、その活動がヨーロッパとは何の関係もないにもかかわらず、世界中のあらゆる場所で私たちに遵守を求めているということです」と彼は語った。
カタールエネルギー大臣兼最高経営責任者(CEO)のサード・アル・カービ氏はさらに踏み込んで、ブリュッセルが変わらなければカタールはEUへのLNG輸出を停止するシナリオを準備していると述べた。 「欧州は依然としてカタールや米国からのガスを必要としているということを理解する必要がある。欧州はこの問題を真剣に検討すべきだ」と同氏は述べた。
エクソン・モービルとカタール・エナジーは現在、欧州連合がロシア・ガスの輸入を削減して以来、欧州の2大液化天然ガス(LNG)供給国となっている。
現在、米国はEUのLNG輸入量の50%近くを占めているが、カタールは主にシェル、トータルエナジー、ENIを通じて12~14%を供給している。
これら 2 つの供給源が同時に破綻すると、ヨーロッパは特に冬に再びエネルギー危機に見舞われる可能性があります。
ウッズ氏はまた、エネルギー企業に実質ゼロ排出達成に向けたロードマップの提示を求めることは「技術的に不可能」だと述べた。一方、カタールは、ロシア・ウクライナ紛争後のLNG生産国が不足を補うために生産能力を拡大し続けているため、この状況は非現実的だと考えている。
欧州議会は再交渉に同意したが、EUは依然としてこの法律を2025年末までに完成させたいと考えている。
ワシントンとドーハはともにブリュッセルに対し規制を緩和するようロビー活動を行っており、さもなければ欧州が自国の「環境保護法」によって供給が滞った際に代償を払うことになると警告している。